Archive for 12月, 2011

WASPの国


2011
12.08

ロバート・デ・ニーロが監督をしマット・デーモンが主演した「グッド・シェパード」という映画がある。実在のCIA諜報員をモデルに描いたサスペンスものだが、イェール大学のスカル・アンド・ボーンズという結社を初めてほぼ正確に描いたことでも知られている。アメリカはホワイト・アングロ・サクソン・プロテスタント(WASP)が牛耳ってきたという白人なら誰でも知っている事実を描いて興味深い作品だった。彼らは公然と人種差別を口にする。すなわちアメリカを治めるのはユダヤでもクリスチャンでも黒人でもましてヒスパニアでもなくWASPなのだと。アメリカの民主主義とは白人のためのものなのだ。

白人至上主義はドイツのナチズムにも通じる純血主義である。観念的ではあるが歴史の浅いアメリカでは見分けが解りやすいことが必要だったのだろう。もともと移民の国だからどこから来たかを重要視したのだ。国土が広いので英国と違ってアフリカから奴隷を連れてきて使役した。他のヨーロッパ諸国は奴隷を連れてきたら人口過多になるので植民地という奴隷牧場を経営したのだ。だから彼らにとって黒人は完全な家畜であった。グッド・シェパードとは「良き羊飼い」という意味だ。彼らにとっての羊は黒人奴隷やWASP以外の移民たちのことだ。つまり家畜だ。白人の人種差別とはこういうことを言うのだ。

映画ではWASPたちの愛国的活躍が描かれているが人種差別への呵責も感慨も何も描かれてはいない。何とも思っていないのである。彼らには自分たちの国にしか興味がないのだ。WASPの住む国にしか興味がない。そういう人種と70年前の日本人は戦ったのである。


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