Archive for 8月, 2010

国家社会主義


2010
08.19

20世紀初頭、自由主義経済という実にいい加減な政治経済の体制が大恐慌を招き極端な貧富の差を生んだ。第1次大戦の敗戦により全てを失ったドイツで自由主義経済に絶望した国民は国家社会主義という覚醒剤に手を出したのである。

私有財産を全て国家に帰属させ再分配する社会主義思想は、極端な貧富の差を解消する理想的な方法に思えたのだ。当時のドイツで富裕層と云えばユダヤ系ドイツ人たちであった。ヒトラーはワイマール憲法下で自由を保障され経済界を牛耳っていたユダヤ勢力を標的にする事で、生粋のドイツ国民を国家社会主義へ導いたのだ。ユダヤ勢力から財産を奪う事はキリスト教徒にとって何ら恥じる事ではなかった。宗教的偏見と国家社会主義が結びついたのだ。ヒトラーの国家社会主義労働党は国民の絶対的支持を得た。

同時代日本でも国家社会主義に目覚めた人々がいた。農村の疲弊に義憤を感じた軍部の青年将校たちだ。国家社会主義者北一輝の教義が思想の背景になった。彼ら青年将校たちは自由主義経済下で富を独占していた財閥をその標的にした。政党政治家も財閥との癒着を理由に標的となった。政党政治家は財閥からの政治献金を多く受けていたからだ。

5.15事件や2.26事件は昭和維新と称する青年将校たちのクーデター未遂事件だが、彼らの思想は国家社会主義であった。自由な経済体制で貧富の差が出るよりも私有財産を国有化し計画経済で平等をはかる共産社会主義に通ずる思想だったのだ。国家社会主義と共産社会主義は正に双子なのである。

日本ではヒトラーやスターリンのような独裁者は必要なかった。絶対的君主の天皇が存在するからだ。天皇の元に平等であればよかったからである。しかし日本の国家社会主義者は天皇親政を目指しながら、その実天皇を利用する事しか考えていなかった。

2度に渡る軍部の凶行で政党政治は瀕死状態になった。国家社会主義は軍部に浸透し徐々に統制経済が実行されるようになる。アメリカの排日政策に対抗するにはその方法しかないように民衆も思ったのだ。ドイツ同様日本でも国民の支持があったからこそ国家社会主義者は権力を握っていったのである。

ドイツと日本で国家社会主義者が権力を握るために欠かせなかったものがマスコミの扇動である。ドイツの宣伝相ゲッペルスはドイツにラジオを普及させたと云われているが、新聞よりも直接耳で聞くラジオの方が大衆を扇動するのが容易だと知っていたのだ。嘘は大きい方が大衆には信じられ易いとも云っている。日本でも新聞は国民大衆を扇動する役を自らかってでた。強制されたというのは嘘である。廃刊を恐れて自主的に軍部に協力したのだ。心情的には国家社会主義に賛同していたに違いない。

敗戦後も日本のマスコミは国家社会主義から双子の共産社会主義へと変貌したが、戦前と同じ社会主義的報道を続けた。民主主義者を装った社会主義者の巣窟がマスコミであった。官僚も戦前の軍部官僚と同じ社会主義者であふれた。自由主義経済国家で重要な産業が長らく国営だった日本は半社会主義国家と云われていたのだ。鉄道、郵政、塩、たばこの専売、道路、いずれも国営が長らく続いた事は皆が知っているだろう。自民党政権は民主主義の立場からこれら重要産業を民営化してきた。現政権はどうか。民主党は社会主義だ。郵政民営化に反対する者や高速道路を無料化する者は社会主義者なのである。

自由主義や民主主義は非常にいい加減でまとまらず絶対的に正しいとは限らない。何しろ多数が賛成した事を正しいとする方法だからだ。反対に社会主義は絶対的に正しいと思える事を実行しようとする理想主義だ。しかし社会主義が成功した試しはないのだ。その証拠に社会主義国は全て崩壊するか独裁主義の国になってしまった。理由は簡単である。人間は不完全な生き物だからだ。

気をつけなければならない。不完全な人間が偉そうに自分は完全だと思っている。今の政権政治家やマスコミや官僚にはそういう不遜な連中が多数いるのだ。現民主党政権は確実に国家社会主義への道を歩んでいる。


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