貴族のたしなみ

日本でもそうだが、古来貴族は労働をしない階級である。中国や朝鮮では儒教思想のため特に貴族は労働を恥とさえしていた。しかし西洋と東洋では貴族のあり方は違っていたと言える。そもそも貴族とは土地を所有する地主として勢力を持った者たちのことだ。所有する土地を拡大していくことが国を造ることでもあった。中世までは世界中で所有する土地の奪い合いを行ったので戦争が絶えなかった。
しかし何も中世ばかりではない。戦争の原因はほとんど土地に関することである。石油や貴金属などの利権は土地の所有に関することだからである。中東戦争は聖地をめぐるものだからこれも土地が原因である。アフリカ各国の内戦も貴金属や石油の利権をめぐるものがほとんどで、民族戦争はそのとばっちりなのだ。
それはともかく、中世までは貴族も戦争という労働とは言えないまでも体を使って働いていたが、土地の所有が落ち着いてからは自ら戦争に出ることはなくなった。戦争や労働は下請けにやらせるのが西洋貴族のやり方だ。それは土地を所有しているからできたことなのである。
東洋の貴族は少し違う。中国では西洋とほとんど同じであったが、朝鮮では高級官僚が貴族化したので土地を持っているとは限らなかった。土地の所有者でもないのに貴族ぶっていて労働をしないから落ちぶれていき、金で身分を売るような者もいた。そのため国民の大半が貴族という滑稽な状態なった。20世紀初頭の朝鮮は世界でも有数の貧乏国になっていたのだ。
日本の貴族は皇族のことである。当然に土地は全て皇族のものであったから労働することはなかった。しかし平安時代に藤原氏が公然と土地を私物化し始めた。これが荘園である。皇族が落ちぶれ国家が疲弊した。それが武家階級を生む原因にもなった。
日本の貴族は労働をしない時間に歌を詠み文学にいそしんだ。歌の能力の善し悪しが出世に影響したという。
西洋の貴族は労働をしない証拠に手袋をしていた。その手袋をしまうために背広の上着の胸ポケットはつけられたという。