ヘラブナ釣り

ヘラブナ(箆鮒)とは琵琶湖を原産とするゲンゴロウブナの改良型を養殖したものを言う。ヘラブナ釣りは関西発祥のスポーツ釣りで、食べる目的ではなくただ釣ることを楽しむ釣りである。従ってキャッチ&リリースが鉄則だ。また自己申告だが、きっちりと口に針ががりしたもの以外はスレと称して釣ったことにはしないのも鉄則である。針も返しのないスレバリを使う。すぐに外れる針だ。ヘラを痛めることも少ない。道糸もハリスもできるだけ細いものを使って釣るのも特徴的である。

自然のヘラブナの餌は植物性のプランクトンだ。だから麩やじゃがいも粉などを餌にして釣るのだが、水中ではもちろんすぐに溶けてしまう餌だ。だから餌作りが難しいし、釣り方も難しいと言われてきた。しかし昨今は説明書き通りに作ればちゃんと使えるインスタント餌が巷にあふれている。そのお陰でどんどん釣り師の力量は平均化してきた。管理釣り場に行けば1日100枚釣ることも不可能ではない。しかも初心者でも可能だ。何しろ相手は養殖のヘラで餌はインスタントにできる代物だからだ。

数釣りなどは今やヘラ釣りの目的ではない。現在のヘラブナ釣りの醍醐味は、如何に音もなくヒット率の高い釣りをするか、量より質である。簡単に釣れる方法を敢えて取らず、決めた釣り方で確実に型物を釣る。しかも音もなく、優しく。

ヘラ竿も胴調子の柔らかいもので、合わせは音もなく、これが究極のヘラ釣りだ。競技会で優勝するような人でも、優しく音もなく合わせるのはなかなかできるものではない。逆に競技会では素早く合わせて引っ張り上げるので強くバシャバシャと合わせることが多い。釣りに品がないのだ。ヘラも口が切れたりスレで鱗を取られたりする。強い合わせはヘラを痛めると知らなければならない。

ウキの動きに集中して一日無心で釣りを楽しむ。ヘラブナを労って優しく釣り上げてはまた放流する。ヘラブナに優しく、人と競わず、人と比べず、自分なりの釣りを極めるのが最終目的である。